摂食障害を克服した後の話

摂食障害

どのように経過したか

 今回は摂食障害を克服した後のお話をしたいと思います。30半ばぐらいの時に、お菓子を夜中に突然多量に食べてしまうというような衝動はなくなりました。

 原因は、結婚したことだと思います。末っ子だった私は父親の死後、兄弟は結婚や就職で家をでてしまったため、母親と二人暮らしでした。母はもともとお嬢様育ちだったので、私に対する依存がひどかったです。そのプレッシャーから抜けたことが大きかったのです。

 精神科に通院し、入院までしたという過去が自分にとってかなりの負い目でした。とにかく、顔や経済力よりも「気を使わない人」が私の結婚の条件でした。結婚する前まで、突然起きる過食は続いていました。もし、私がお菓子などを大量に食べているところを見られても、平気な人が良かったのです。紹介で案の定、そういう人と出会うことができました。とは言っても、結婚してから現在でも自分が摂食障害を抱えていた過去は話していません。

とにかく過去を話すことが、自分にとって最大の恥と思っていたからです。

 結婚後、私が食べている最中に主人が帰宅したこともありましたが別に気に留める様子もありませんでした。

「自分が気にするほど、ひとはそんなに関心がないんだな。」

そんな感覚を感じたのを今でも覚えています。

そして、結婚して1か月もたたないぐらいにもう過食することはなくなりました。

克服してもハッピーエンドではなかった

 結婚してから、1年ぐらいで出産しました。旦那は温厚な人だし、子供も順調に成長し、特に生活に問題はありませんでした。

 公園デビューも難なくこなし、平穏な日々を送っていました。ところが子育てサークルに入り始めて、秘密をまた持ち始めました。

 ママ友に

「いくつ?」

と聞かれたときに私はとっさに5歳さばを読んで、年齢を答えたのです。

 潜在意識で自分の病歴を負い目に思っていたのでしょう。現在も今更、白状するのもなんだとママ友にはずっと5歳若く年齢を偽っています。(言う度、心がいたむのですが)

もう一つの問題は、

 「失われた時間を取り戻ささなくちゃ!」

という衝動に駆られて資格を取りまくったことです。

 二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー、CAD利用技術者1級トレース、住環境コーディネーター2級等々です。まだ小さかった子供を育てながら、猛勉強をしました。

 もともと、優等生だった私のそんな姿は家族にとっては珍しくなく、他人から見ればただただ偉い人という見られ方でした。

でも私の心の中では

「早く。早く。」

という声が聞こえて、私をのんびりさせてくれないのです。

資格を取ることで、今までの人生の穴埋めができると信じていたのです。

 子供が中学生になると、今まで取得した資格を生かして就職を探したり、就職をしたりしました。

 結局、仕事は長く続きませんでした。実際の現場で大事なのは、実務・経験です。資格はあったに越したことはないという感じです。

 しかも、子供のお弁当作り、食事作りをちゃんとやりたい私は、残業などやりたくないので仕事や職場もうまく適応できませんでした。

ありのままでいい

 自分の思い描いた未来のようにはなりませんでした。

「資格を取って病気で引きこもっていた分の穴埋めをしてまた社会で活躍しなくては!」

 私の場合、そうなりませんでした。

「それって解決策なの?」

と思う人がいると思います。でも、自分が身をもって失敗を繰り返したことで分かったことがあります。

「別に肩書なんて、そんなに大事じゃない。」

「自分が気にするほど、他人は自分に関心がない。別に、ありのままでいい。」

 そう思えたのは、子供の存在のおかげです。私が就職で採用されなくても、職場でうまくいかずやめてしまっても、子供の私に対する感情は変わらないからです。

 子供にとって母親である私は、レッテルや資格など関係なく、ただそこにいてくれればいい存在なのです。それに気づくのに随分、回り道をしてきました。

 お子さんがいらっしゃらない方も、親戚の小さいお子さんが、

「○○ちゃーん!」

と言って駆け寄ってくることがあると思います。

 彼らは、あなたが会社でどんな地位であるとかどんな会社に勤めているとか全く関係なく接してきます。あなたそのものに、なついているのです。充分、価値があるのです。

 身近に小さい子供がいらっしゃらない方も、ペットを想像してください。別に、あなたの経歴なんて考えてなついているわけではありませんよね?

「ただいるだけでいい。」

「ひとに褒められたり、うらやましがられなくても価値がある。」

それに気づかされて、私の心の中の

「早く。早く」

という声は聞こえなくなりました。

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