私は摂食障害でした。
初めまして、私は50代主婦です。10代後半から20代前半、バブル期で「女子大生ブーム」の時の人間です。景気の良い時代に、「イケイケ」(もはや死語)に生きてきたように人には思われますが、人知れず摂食障害に苦しんでいました。
私は
- 見栄っ張り
- 勝気
な性格なため誰にも口外してきませんでした。実家の家族以外、私の病歴を知りません。
では今、私がなぜここで長年秘密にしていたことを話すかというと、コロナで緊急事態宣言状況のせいか、ストレスを抱える人が多くなり、それが原因かどうかわからないのですが、スーパーに買い物にでかけると、拒食症の子を見かけることが多くなった気がするのです。目をランランとして食品を眺めている様子。自分が患ったことがあるから、ただの痩せではないとわかる。ガリガリなのに食べない(食べられない)、でも食べ物には興味津々でつい目で追ってしまう。あの感覚。体験してきた人間だからこそ話せることがあって、それが時代は違っても何か回復するヒントになってほしいと思ったからです。
私が19歳の時、父親の死をきっかけに摂食障害が始まりました。最初は自分の精神状態などわからず、ただのダイエットのつもりでした。大学生の時は、身長164センチ、体重46キロ。自分で言うのもおこがましいのですが、スラリとしたモデル体型でした。この時からカロリーを気にして友人との外食もおろそかになりがちでした。それが悪化したのは就職してからでした。当時、付き合っていた彼との問題でストレスを感じることが多く、またそろそろ適齢期(これも死語)ということもあり母の干渉がひどくなってきた事が影響です。その時の私の体重は38キロになっていました。私の痩せっぷりに職場の人はいろいろ心配してくれたのですが、もう通勤する体力さえなくなってしまい退職せざるを得ませんでした。
自分から病院へ
退職してから、周りの人たちは少しのんびりしておいしいものでも食べたら何とかなると思っていました。まだイギリスのダイアナ妃が摂食障害だったと報道される前の話です。世の中の人は、そうゆう病気があることすら知らないという人が多かったです。
そんな中、なぜ自分から病院へ行こうと思ったかというと突然、過食が始まったからです。
自分でも考えらせないほどの量のお菓子を食べ始めました。
「やめたいのに食べだしたら止まらない。誰か助けて。」
って感じです。
母は、
「たまにはお菓子をたくさん食べちゃうこともあるわよ。」
といい、私の異常な状態を取り合ってくれませんでした。
でも、私は納得がいきませんでした。
結局、摂食障害の本を見つけ自分の病気を自覚することになりました。
回復までの過程
病院に受診しに行った時の私の体重は、過食で64キロになっていました。
とりあえず薬をもらって、様子を見るように言われましたが私は頑として入院を希望しました。医者が必要ないと言っているのにもかかわらず、その後も強硬に入院を希望して結局、3回の入院をしました。
家にいると、自分が際限なく食べてしまうのではないかという恐怖からです。
でも結局、医者が言う通り社会復帰する遠回りをしたにすぎませんでした。入院をしたからと言って問題が解決されるわけでもないのです。(あまりに痩せすぎで、ほおっておくと危険な人はべつです。)
よく、摂食障害の原因は母親の問題と言われます。
私の通院と並行して母も、病院が行っている母親教室で同じ病気を抱える親と交流したり心理療法士の先生と話したりする場を待ちました。
長いトンネルを抜ける
病院に通院中も相変わらず過食と拒食を繰り返していました。当時は、突然来る過食の波が来ないようにただただビクビクして家に閉じこもっている日々を送っていました。
「バイト、したら?」「友達作るといいよ。」
とかアドバイスされましたが、実家に住んでいるのでバイトの必要もなく、もともと人見知りなので友達を作ることもありませんでした。しかも、もともといた友人さえその時の自分の状況をみっともなく思っていたので連絡を避けていました。
転機は、摂食障害を克服したひとの本を読んだことでした。とにかく今まで人の意見に流されやすい自分の性格を改め、自分の気持ちに忠実になろうと努力し始めました。そのあたりからが自分のターニングポイントでした。
子供の時、母親に勝手に辞めさせられたバレエをまた習いだしたり、明治神宮の中をお散歩するととても気持ちがよかったので何度も通ったり・・・・・。精神的には、徐々に前向きになっていったのですが、たまに来る過食は相変わらずでした。でも、気にすることなく自分の気持ちに素直に生きていくと、自然に友人ができ始めてきました。
あと、食べたいという欲求がうまれたらとことんこだわることも効果的でした。
- 自分は何が食べたいか?(思いつくまで食べない。)
- どうせ食べるならとことんおいしいものを食べよう。(チョコレートケーキが食べたいと思ったらデパートのケーキ売り場まで買いに行きました。)
- 買ってきたら、その場でガッと食べない。(お皿に盛る。あえてコーヒーや紅茶を入れて用意する。)
そんな行動をしているうちに無性に食べたいという欲求が落ち着くこともありました。
そしてある日、過食をしている最中に突然気づいたのです。
「自分は気晴らしで食べている。」
「過食しても問題は解決しない。」
と。その日から私の過食はとまりました。
医者や心理療法士の方々には本当にお世話になりました。でも結局、回復のお手伝いでしかなく結局は、自分の心の在り方なのです。今の治療は、私の時とかわっているかもしれません。でも、根本は同じです。自分らしく丁寧に生きていきましょう!次回は摂食障害を克服した後のお話をしたいと思います。
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